過去の名選手は現代でも通用するか 打者編

焼き豚だったら一度は妄想する、過去の名選手が現代で通用するのかという話題だが、こんなものはわかるはずがない。

くだらないタラレバを言っても仕方ないので、妄想も大概にしろという話ではあるが、その一方で妄想は楽しいものだ。

実証しようがないものでも、ある程度のシミュレートをすることはできるわけだから、現代ではこれぐらいになるはずだと考えるのは面白いものである。

それでは本題に入るが、過去の名選手が現代でも通用するかどうかは選手のタイプによっても違ってくるし、時代によっても変わってくるだろう。

さすがに戦前レベルともなれば、レベル差がありすぎて全く通用しないレベルになってくるが、戦後ともなれば現代でも通用する選手はたくさんいるのではないだろうか。

ただし、通用するというのはレギュラークラスから現代でも一流の成績を残せるまで幅広いので、通用に考え方次第で変わってくる部分である。

例えば王貞治が現代で400本の本塁打を打ったとして、400本も打てると考えるか400本しか打てないと考えるのかは人それぞれ捉え方が違う。

現役時代と同等の成績を残すことができないのであれば、通用しないというのであれば、過去の名選手が現代で通用することはほぼないだろう。

レギュラーになれるかが第一のポイントであれば、これは十分に可能性はあると考えられる。

過去の名選手で現代に現れたとして、もっとも気になるのが先程も名前を上げた王貞治であるが、王クラスになると十分に活躍をすることだろう。

まず、王は大昔の選手に思えるが1980年まで現役をしていて、その当時に活躍していた選手が比較的近年まで活躍をしていたりするので、大昔と言うほどでもない。

それでも40年も前なので、十分昔ではあるが、野球のレベルが段違いというほどの昔ではないだろう。

それを証明するのが門田博光である。門田は1970年にプロ初出場をして、王貞治の全盛期にかぶっている。

そこから、王が引退するまでの間でホームランの数を上回ったのは、王が引退する年の1980年しかない。

最初の数年はプロのレベルに慣れるのに時間がかかったにしても、当時のプロ野球のレベルが低かっったとするのであれば、王を超えるまではいかなくても平均30本ぐらいは打っていなければ辻褄が合わない。

しかし、当時の門田は平均20本程度の打者だった。

それが、王が引退する年に覚せいをして40本を打ち、そこからはっきりと強打者の仲間入りをすることになったのだ。

更に門田はご存知の通り、40歳にして44本のホームランを打ち、更に翌年翌々年と30本以上のホームランを打っている。

最後に30本以上のホームランを記録した年は、1990年と90年台に突入している。

1970年台のレベルが低く、それから野球のレベルが大幅に上がったとするのであれば、門田の成長があったとしても40を超えて30本以上のホームランを打つのは、やはりおかしな話になる。

ということでトップレベルの選手で言えば、時代を超えて活躍をするものだから、王も違う時代に入ったからと言って、一軍で全くヒットすら打てないレベルとは考えにくい。

いくら門田が比較的近年の選手といえども、30年前の選手じゃないかとなるかも知れないが、ここにもまた時代をまたいで活躍した選手がいる。それが、山崎武司だ。

山崎武司は1987年に中日入団も89年までは試合出場がなし。初出場を果たした1989年の成績は打率0.172にホームランは0。同年の門田は0.305に33本のホームランを打っている。

高卒ルーキーということを加味すれば山崎の成績は仕方ないかも知れないが、レベルの低い時代の40を過ぎた門田が三割三十本を打っているところを見ると、かなり見込みのない新人ということになってしまう。

その後も山崎の成績はパッとせず、91年にようやく1本のホームランを打つもそれっきり。

門田が7本のホームランを打って引退をした、1992年も4本と冴えない成績だ。

ところが95年に16本のホームランを打つと、翌年は覚醒をして39本のホームランを打ち強打者として恐れられるようになった。

その後は安定しないものの20本オーバーのホームランを打ち、39歳には43本のホームランを打って本塁打王になってしまった。

それから二年後はタイトルこそ届かなかったものの、41歳で39本のホームランを打ってしまったのだ。

王の巨人入団が1959年、山崎武司が39本のホームランを打ったのが2009年。たった三人の選手で50年をカバーできてしまうのだ。

50年もあれば野球のレベルも大きく進歩したことは事実だろう。しかし、上記の三選手にそれだけ大きな差があるかと言われると疑問である。

近年まで活躍をした山崎が門田や王よりも圧倒的に上かと言われると、そうだとは言い切れないだろう。

逆に王が低レベルの時代だから活躍できただけで、門田や山崎に及ばないかと言われると、やはりそれは違うと考えられる。

トップレベルの選手はいつの時代であっても、しっかり相手にアジャストをしてそれなりの成績を残すことができるものだ。

昔の選手が現代に来ても当時の成績をそのまま残せるわけではないが、全く通用せずに消えていくというのは時代を超えて活躍をした選手をみると当てはまらないと考えるのが自然ではないだろうか。

最後に王と門田がホームランを打ったことがある比較的近年まで活躍した選手を挙げてみる。

王は北別府、永射保、遠藤一彦、大野豊がいる。

門田は工藤、野茂、西崎、阿波野、渡辺久信、小宮山悟、伊良部、など比較的記憶に新しい投手たちから打っている。

王は別格なので全く手も足も出ないということはなさそうだが、それ以外の選手ならどうだろうか。

最初にも述べたがタイプによって変わってくるので一概には言えないが、長打がある選手であればそれなりに通用する可能性はあると考える。

遠くに飛ばす技術に関しては今も昔も変わりなく、現代でも飛距離が全然ない選手は山程いる。

昔は球場が狭かったからと言うが、それなら現代の飛距離が出ない選手が昔の球場ならホームラン王を取れるかと言うと、そうはならないので飛ばせるのはそれだけ大きな才能であり、時代を問うものではない。

なので、一歩間違えばスタンドに打たれるというプレッシャーを掛けられる長距離打者であれば、現代でも十分に警戒されるぐらいの能力は発揮できそうだ。

成績がガタ落ちしそうなのは、足を売りにしていた選手だ。

足の速さこそ時代に関係なさそうだが、走塁技術や走塁を阻止する技術の進化は著しい。

世界の盗塁王福本豊はクイックモーションを生み出させたほどの偉大な選手だが、逆に言えばクイックがない時代だったからこそ、盗塁も荒稼ぎできたと言える。

足の速さは今でも通用するかも知れないが、投手の走塁を阻止する技術が飛躍的に高まっているだけに、打撃はともかく走力を思う存分に発揮するのは難しいかも知れない。

また、福本豊は相手投手の癖をビデオテープが擦り切れるまで研究をして、盗塁成功率を高めたわけだが、これもライバルが少ない時代だったからこそ大きなアドバンテージになったと考えられる。

今ではどこの球団も当たり前にしていて、癖を見つけるのはそれほど難しいものではなく、はっきりしたものではすぐに対策をされてしまう。

特定の選手だけ癖に気づいて有効活用するというのが、しにくくなっているだけに福本豊タイプだとかなり成績を落としてしまいそうだ。

ただ、福本豊は近年まで活躍した選手がちらほら現れ始める1988年まで現役で、引退前年の100安打打っていることから、近代野球に全くついていけないということもないので、今ならいぶし銀的なポジションの選手になるかも知れない。

生涯一度も3割を打てなかった、柴田勲はちょっと厳しいかも知れないね。

平均レベルが低い時代に3割未達は微妙だ。それを上回る長打があれば別だが、一番打者としては長打もあるという程度では現代ではどうだろうか。

相手関係なしに0.250ぐらいの成績になってしまう、新庄タイプもいるので打率が低い選手のほうが下がり代が少なく案外成績を残せるみたいな可能性は無きにしもあらずだが。