ローグライクと新作の相性の悪さ シレン5観戦記
コロナの流行によりブログの更新も自粛をしていたが、そろそろ落ち着いたこともあり再び更新をしていこうかと思う。
最近、シレン5のプレイ配信を見ているが、この手のゲームはつくづく続編を生み出すのに相性が悪いものだと感じる。
1000回遊べるRPGの売り文句は伊達ではなく、何度遊んでも飽きない。ゲームオーバーになる度に新たな冒険ができるので、毎回新鮮な気持ちで遊ぶことができる。飽きることがないというのがローグライク最大のメリットであり、最大のデメリットだ。
ゲームとしてローグの時点ですでに完成していて、何度でも遊べる仕様になってるがゆえに続編の必要性が薄れてしまう。ゲームバランスの調整であったり、UIの改善など手を加える余地はいくばくかあるが、ある程度完成してしまうとそれ以上に改良する余地がなくなってしまう。
ギミックは詰め込みすぎればいいというわけではなく、完成度が高いほど蛇足になる可能性が高い。
シレン5を見ていてそれを強く感じた。
アイテム識別問題
自分ではプレイをしていないが、基本がしっかりしているゲームだけに見ていて十分に遊べるゲームであろうということはわかる。新しく登場したアイテムもユニークなものが多く、どのような効果があるのか説明を見るだけでも楽しい。しかし、いかんせんアイテムが多すぎる。アイテムが多いほど選択の幅が広がるので悪いわけではないのだが、多すぎるとそれはそれでバランスが崩れてしまう。
持てるアイテムの数は限られているし、アイテムが多すぎれば必要なアイテムがさっぱり拾えないということになってしまう。出現率で調整をするにしても限界があり偏りの激しいゲームだけに、比較的出現しやすいアイテムが全然出ないということも珍しくない。
それでもそれなりにクリアできるように作られているのは、さすがはシレンシリーズと言ったところだがアイテムの多さは良し悪しだ。
アイテムの多さは良し悪しだが問題は識別手段が少なすぎるところにある。ローグは本来使ってみなければわからないのが基本だとすると、識別ができること自体がおまけのようなもので、識別できないのが正しいのかも知れないが、それならいっそのこと識別の手段をなくしたほうが潔いのではないか。知識である程度識別ができるのもシレンシリーズの面白さなのだから、もう少し絞り込める余地がほしい。
もしかすると製作者もその辺の葛藤があったのかも知れない。識別しやすくすればローグからかけ離れてしまうし、困難にすればシレンシリーズの良さが失われてしまう。なんとも難しいところだ。
それにしてももう少し値段をバラけさせても良かったんじゃないかなあ。識別テクニックはプレーヤースキルが出る部分であり、プレーヤー自身の成長が感じられる部分なのだから、絞り込める楽しさが味わえる程度にばらけさせてほしい。
例えば500の値段の巻物は15あるが、半分以上が選択式の巻物だ。これだとほとんどアイテムを絞り込むことは不可能。それに加えてまがいものもあるのだからテクニックなどなく運で決まってしまう。
本物とまがいものが値段が違うとバレてしまうから同じにするのは良いとして、恵み系の巻物は1200にしたり、メッキや祝福、たたりを1500にするなどおおよそ当たりがつけられるようにしたほうがゲーム性が増すのではないか。
それをしないのであれば、値段すらランダムにして値段識別の手段をなくしてしまったほうがローグらしく思う。もっとも、そうなっていたら今以上に判別できないことに不満を持ってつまらないと言うだろうが……
もう一つ大きな不満点がアイテムが祝福呪い封印状態も使ってみないとわからないというものだ。
トルネコ3から採用されてるこの仕様だが、これもはっきり言って面白い要素とは思えない。必ずしもプレーヤーにとって不利なシステムが悪い仕様だとは思わないが、もとより運の要素が大きいゲームにおいて、運の要素を最小限に抑えるアイテムですら確率に左右されるようではゲーム性が低下しているのではないだろうか。
空振りをしたら死ぬという状況で、安定を取って杖や巻物を使うのがシレンシリーズの戦略にもかかわらず、肝心の杖や巻物が呪われていて死んだという状況が面白いとは思えない。
杖は事前に振っておくことでなんとかなるにしても、巻物は使ってしまえば消えてしまうのだから、緊急事態回避には不適になってしまっている。
ピンチの時に打開アイテムが呪われていて使えずに死ぬにしても、事前にわかっていれば諦めもつくが、使った結果効果が発動されずに死ぬのはストレスが溜まるだけだ。
このような仕様にする場合には、アイテムの識別をある程度しやすくしたり、呪いや封印状態を解除するアイテムを出現率を高める必要がある。パッと見た感じではそこまで調整されているような感じもない。
もともと、アイテムが呪いや封印状態になっていること自体が低確率なので、そこでバランスを取っているとも見れるが、それだと結局ゲームを楽しくする要素ではなく、余計なストレスを感じさせる要素にしかならないのではないだろうか。
最大HP回復量反比例システム
4からこの仕様になっているらしいが、最大HP量によって自然回復量が反比例していくという仕様は悪くない。
個人的には好きな仕様変更ではないが、ちょっとした仕様の変更を加えるだけでゲーム性がガラッと変わるのは面白い。同じゲームでありながら立ち回りが大きく変わるのは、従来のシリーズをプレイしてきた人間にも新鮮さを感じることができそうだ。
好みが分かれそうな部分だけに、過去作をプレイしてきた人間の中には受け付けないプレイヤーも出てきてしまうのは避けられないだろうが、マンネリ化するよりはこのような変化はありではないだろうか。
特に低層はアイテムも揃っていない状況で、敵に囲まれて回復も追いつかずにループしやすい問題があるので、それが多少緩和されるのは良い。
ただ、低層は良くても深層になるとHP管理がシビアになるので、初心者に厳しいため良し悪しと言ったところだ。
調整自体はしっかりされているようで、HPを極力減らさない立ち回りが求められるため、杖の使用回数も多めに設定されているところはGood。
素振りでHPが回復しないのは、少し納得が行かないところ。というのも足踏み回復をすると、一瞬にして敵に隣接されてしまうことが多々あるゲームだからだ。敵が近づくと足踏み速度が低下するようになっているにしても、やはり隣接されやすい。こまめに足踏みをするのは面倒だ。ある程度モーションに時間がある素振りが安全な回復に最適なのに、これを潰されてしまっているのはいまいち。
敵との殴り合いの際に回復したり、罠チェックをしながら回復させたくないという考えがあるのかもしれないが、それだったら敵を殴った時、罠に向かって素振りをした時は回復しないといった仕様にしてほしい。
あるいは単純に攻撃の行動をとって回復するのはリアリティにかけると判断した可能性があるが、そんなリアリティは不要である。
新種道具の是非
新種道具のシステムはよくわからないが、自分で精製した新種の道具がダンジョンの中に登場するものらしい。
いわば持ち込み要素みたいなものになっているが、これの最大の問題点は一度登録した新種道具は登録限界の上限に達するまで消すことができないということだ。一度登録をしてしまったが最後、新種道具が出ない状態の冒険をすることができなくなってしまう。
基本的にゲーム自体の制約は少なく、プレイヤー自身が好きにルール設定をすればいいと思っているので、強力なアイテムが登場するようになるのも個人個人で好きにすれば良い。ただ、常時出るようになってしまうのは問題だ。例えアイテムが出たとしても使わなければ良いと思うかもしれないが、これも本来のバランスを壊してしまうわけだから、素の状態のゲームができなくなってしまうのは痛い。
ダンジョン内にアイテムが10個生成されるとして、うち1つが新種道具になるのであれば、本来落ちていたはずのアイテムが割りを食ってしまうことになるし、11個落ちるのであれば問題なさそうだが、厳密にはこれもゲームに影響が出る。
視界に入ったアイテムを取りに行く最中に的に強襲されたり、罠を踏んでピンチに陥ったりするゲームだけに、生成されなかったアイテムが生成されるだけでも影響が出てしまうわけだ。
上級プレーヤーほど本来ありのままのダンジョンで遊びたいと思うだろうから、新種道具の出現の有無を調整できないのは少し不便だ。
話はそれるが個人的にはもっと不思議のダンジョンでも、持ち込みが出来ても良いと思っている。上級者であれば持ち込みはつまらないだけだと思うが、誰もが簡単にもっと不思議のダンジョンをクリアできる腕前のわけではない。なんとか不思議のダンジョンまで達することができたが、全く先に進めずにクリアできないという人もいるだろう。そのような人たちのために、持込可能なもっと不思議のダンジョンがあっても良いのではないだろうか。番付の記録さえ区別しておけば、他のプレイヤーと競いたいプレーヤーでも競うことができるし、他者を気にしない人は難関のダンジョンを万全の装備を整えて無双できる楽しみ方ができる。
そもそも、倉庫というシステムがあり武器防具を鍛えるシステムがあるのだから、そのような強力なアイテムを思う存分使えるダンジョンがあっても良いような気もするが、過去作でもあまり例がない。その問題の答えとして、新種道具が出たのであれば少しずれているのではないだろうか。
新種道具自体のシステムは問題とは思わないが、仕様に少し難があると思った。
昼夜システム
これもあまり面白い要素とは感じない。昼と夜でモンスターテーブルが異なるのは変化があって面白いが、夜の敵の対処法が限られてしまっているのはいまいちだ。どれだけ昼の装備を充実させても夜対策を怠れば、簡単にやられてしまうと考えればやりごたえがあるようにも感じるが、面倒そうだなと言う印象が強くなってしまう。
逆に夜対策を万全にすると昼の難所を夜待ちして、あっさり抜けることができるようなので、穴の多い仕様と感じる。見方を変えれば上手く昼夜の切り替えをして、ダンジョンを攻略していく戦略性が出ているとも見れるがあまり練り込まれた要素には思えない。
この辺も新規プレーヤーと過去作も遊んでいるプレーヤーの違いで、新しいものが受け入れられないだけなのだろうか。元が完成されているだけに、新要素が蛇足に思えてしまうという典型的な例だ。
昼夜システムも実際にプレイしてみないと正しい評価が難しいかもしれないので、この辺にしておこう。
操作性 UI
これも見ているだけでは判断できない部分も多いが、ユーザーフレンドリーな親切設計が多いように感じた。矢でも札でも杖でもセットしてショートカットボタンで操作できるのは良いし、未識別のアイテムに名前を簡単につけられるばかりか、どのアイテムに名前をつけたのか確認できるのも良い。アイテムの数が膨大になっているだけに、この配慮は嬉しいところだ。深層に進むにつれて、何が出て何が出たか忘れてしまいがちなゲームだけに、ゲーム内で補完できるのは非常に助かる。
3からこの仕様になっているようだが、矢が99本に達すると別の束ができるのは基本的には良い変更点だ。ただ、本来99本しか持てない矢を壺を駆使することで99本以上持てるというのも戦略性があって嫌いではない仕様だ。どちらが万人受けするかと言われれば、自然と次の束に移るほうだろう。
みわたすコマンドも理不尽さを緩和させるのに良い仕様だ。 致命的な遠距離攻撃をしてくる敵や隣接されたくない敵を先に処理すべきかを判断しやすいのはプレイの幅が生まれる。みわたすができない作品でも、危険な敵であることを考慮して先手を打っておくというのも、それはそれでゲーム性のひとつと考えることもできるが、危険かどうかもわからない存在に対してアイテムを空打ちさせられるのはつまらないし、かと言って対策をせずにやられても理不尽さが残るだけだ。
それを考えるとみわたすができることで理不尽さがなくなり、純粋にプレイヤースキルが求められるようになったのではないだろうか。
まとめ
結局の所はちょろっと見ただけで自分でプレイしたわけではないので、頓珍漢なことを言っているかもしれない。そのため、クレームや誹謗中傷、人格攻撃は願いたい。
やはり、完成されてしまったゲームはドラスティックに変化させるのは難しいようだ。
例えば、将棋や麻雀、大富豪をガラリとゲーム性を一新させる変更を加え更に面白くするというのは難しいだろう。シレンシリーズもまさにそれで、2作目3作目と基本的なバランス調整を加えて完成度を高めてしまった作品は、それ以上の伸びしろがなくなってしまうので新作との相性が悪い。
新要素も空回りしやすく、既存ユーザーには蛇足感があり、新規ユーザーには訴求力が弱いためセールスポイントにならない問題がある。
結局の所、システムはシンプルにして素直にローグライクの面白さを宣伝してく地道なやり方こそが、一番良いのではないだろうか。
が、人を選ぶゲームだけに一定のニーズはあっても爆発的に広がることはないだろうなぁ。
トルネコによって、ここまで認知されたことが奇跡であり、廃れない程度にほそぼそとたまに新作が出る程度が現実的かもしれない。
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コメント一覧
動画の宣伝ありがとうございます!!
こんど高級焼肉を奢ります!!
飲み放題もつければアルコール除菌できてウイルスも怖くないから良いですね!